旅館業の許可を取得するためには、様々な要件を満たす必要があります。
旅館業法に基づく主な要件は以下の通りとなります。
欠格要件
申請者が以下の欠格事由に該当しないことが必要です。
- 旅館業法に違反して刑を処せられその執行を終わり、または執行を受けることが無くなった日から起算して三年を経過していないもの
- 旅館業の許可を取り消され、取り消しの日から三年を経過していないもの
- 施設の設置場所が適切であること
学校照会
設置場所が以下の施設の周囲おおよそ100mの区域内にあり、設置によりその該当施設の清純な施設環境が著しく害される恐れのある場合、許可は与えられないこととなっています。
- 学校教育法に規定する学校(大学は除く)
- 児童福祉法に規定する児童福祉施設
- 社会教育法に規定する社会教育に関する施設
(京都市の場合は、公民館・図書館・博物館・博物館に相当する施設・勤労青少年ホーム・主として街区内に居住するものの利用に供することを目的とする都市公園・公民館もしくは図書館に類する施設又はスポーツ施設で、国、地方公共団体、公益社団法人又は公益財団法人が設置するもの)
京都市では、ラブホテルなどの風営法の営業許可が必要な施設を除いて、保健所などの事前相談等で認められた場合には、学校紹介等などをした上で当該施設の近くであっても、旅館営業の許可が下りる場合があります。
施設の構造設備基準
客室の床面積
一人当りの客室の床面積が以下の面積を満たしていることが必要です。
ホテル営業、旅館営業及び下宿営業
洋室:4.5㎡以上(修学旅行の場合、その他教育目的で同一施設に集団で宿泊させる必要がある場合は3.0㎡以上)
和室:3.3㎡以上(修学旅行の場合、その他教育目的で同一施設に集団で宿泊させる必要がある場合は2.5㎡以上)
簡易宿所営業
客室面積が一人当り3.3㎡以上が必要となります。
帳場及びフロント
宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場その他これに類する設備を設けることが必要となります。
※旅館業法の改正により、京都以外の各都道府県では、帳場の設置要件が緩和されていることがほとんどですが、京都の場合は、町家の一棟貸しの場合にのみ帳場の設置義務が緩和されます。
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採光換気
客室には、採光のための窓その他の開口部を設け、その面積は、その客室の床面積に対して8分の1以上とすること。
便所(水洗式)の設置数
客室定員が1~5人であれば、大便器1 小便器1(洋式便器2でも可)が必要となります。
客室定員が6~10人であれば、大便器2 小便器1が必要となります。
できれば、2部屋男女別の便所が望ましく、手洗いは洗面所とは別とすることが望ましいとされています。
共同洗面所の設置数
客室定員1~30人の場合、5人当たりで1個以上の給水栓(水道の蛇口)が必要であり、 トイレの手洗いとしての使用はしないこととされています。
飲用に適する水を用いることも必要とされています。
浴室、シャワー、共同浴室
公衆浴場等が近接にある場合は入浴設備を有さなくてもよいとはなっていますが、銭湯などの数も減ってきていますので、入浴設備は設置が必要となります。
共同用シャワー等を設ける場合は、10人に1個の割合とするよう努める必要があります。
その他、寝具等の格納戸棚(リネン室等)、飲食提供を行う場合は調理場等が必要であるなど各都道府県によって申請要件についてはかなり幅があります。
また、簡易宿所営業の場合、管理者スペースの動線と宿泊者の動線がクロスするような構造は認められません。
他法令に基づく手続き
営業を開始するにあたっては、旅館業法以外に関連する他法令に基づく手続きが必要となる場合があるので注意する必要があります。
場所に係る手続き
- 農地→農地法に基づく手続き
- 農用地→農振法に基づく手続き
- 自然公園内→自然公園法に基づく手続き
- 河川区域内→河川法に基づく手続き
- 都市計画区域内→都市計画法に基づく手続き
建物に係る手続き
- 建築基準法に基づく手続き
- 消防法に基づく手続き
- 水質汚染防止法に基づく手続き
- 建築物衛生的環境確保法に基づく手続き
施設営業に付随する許可等
- 食事提供→食品衛生法に基づく手続き
- 浴場を利用者以外に利用→公衆浴場法に基づく手続き
- 温泉を浴用、飲用に提供→温泉法に基づく手続き
- 映画館、劇場等を設けて公衆に見聞きさせる→興行場法に基づく手続き
- ラウンジ等でホステス接待の営業→風営法に基づく手続き
- 政府登録ホテル、政府登録旅館として登録したい→国際観光ホテル整備法の規定に基づく手続き